2010年1月11日月曜日

由佳の本棚(1月)

 
 
今月の「由佳の本棚」は厚い本!!お正月休みがあったので、頑張って挑戦しました!!
厚いけど、どれもあっという間に読めましたよ。
 
「僕が死んだら、その灰をサハラにまいてくれないかな。」
パリで、一人の青年が死にます。
青年の遺言を元に、青年の姉と、青年と同居していたゲイのフランス人、青年の親友二人が、青年が以前旅した、フランス・スペイン・モロッコを旅して、最後にサハラ砂漠に遺灰をまく物語。
旅をしていくうちに、4人は、自分が大切なものに気付いていきます。
そして、その旅を、青年が見守っているという、ちょっと不思議な構成になっています。
その土地の風景や息遣いが、行間から伝わってくるんです。
あ~、映画化してほしいな~。
少年が歩いた道、私も歩きたくなりました。
 
主人公は、中堅ゼネコン入社3年目の平太君。
大学を卒業後、マンション建設の現場で働いていていましたが、本社に異動になります。異動先は、業務課。別名、談合課。
当たり前だけど“談合は悪いこと”。
最初はそう思っていた平太でしたが、自分の会社や社会の仕組みをしっていくにつれ、どこか心に引っ掛かりながらも、自分も“談合”に参加するようになります。
談合がうまくいかなくて、銀行に勤める彼女に顧客情報を教えてほしいと頼んだり、彼女に談合の必要性を訴えたり、とにかく、危なっかしいんです。でも、心に熱いものをもっているから、危なっかしくても、馬鹿正直でも、馬鹿でも、応援したくなっちゃう。
そして、最大の談合、地下鉄工事の落札がやってきます。
結果は・・・・やられた!!って感じですよ!!!うまい!!!!
 
綾辻行人さんは好きだけどホラーは苦手・・・でも、見た中で一番厚い小説だったので、泣く泣く挑戦することにしました。
主人公は、中学3年生の榊原恒一くん。
東京の有名私立中学に通っていましたが、父親の仕事の関係で、母親の田舎・夜見山市の学校に転校することになりました。
恒一くんが転入した3年3組には変な空気が流れていました。
それもそのはず、このクラス、3年3組には、誰にも話してはいけない秘密があったのです。
ホラーは苦手なのでお昼過ぎに読み始めましたが、先が気になって一気に読み、読み終わったら夜でした。ありえん!!
あっ、でも、夢には出るほどではないので心配なく。
 
主人公は、合併でできた地方都市、ゆめの市に住む5人。
各章ごとに主人公が変わります。
では、その主人公を見ていきましょう。
まずは、相原友則さん。市役所に勤めるケースワーカーです。
続いては、久保文恵ちゃん。高校2年生。東京の大学に進学し、ぱっとしない、この町を出ようと思っている女子高生です。
3人目は、加藤裕也くん。暴走族上がりで詐欺まがいの商品を売り付けるセールスマン。
4人目は、堀部妙子さん。スーパーの保安院をしながら、新興宗教にすがる48歳。
最後は、市議会議員の山本順一さん。小さな市がいやになり、県議会を狙っています。
その5人が、とんでもない事件に巻き込まれていくのです。まさに、”無理”の数々。そして、衝撃のラスト。
読み終わった後の爽快感は全くありません。たまには、こんな腹の黒い小説もいいかもね。
 
番組の中ではご紹介しませんでしたが、ただいま、江國香織の「左岸」を読み終わり、辻仁成の「右岸」に挑戦中!
この2冊を重ねると、”かなり厚い本”になります。
一つの物語を、女性視点と男性視点で描いているお話です。
そう、「冷静と情熱のあいだ」以来ですね。
「冷静と情熱・・・」よりも現実離れしてるけど、何か心に残る本です。
個人的には、左岸を読んで右岸を読むほうがオススメ。
右岸から読んだ人の感想も聞かせてほしいな。
私の周りは左岸から読んでいる人ばかりなんです。
 
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 
 
紀伊國屋書店クレド岡山店
〒700-0821
岡山市北区中山下1-8-45
NTTクレド岡山ビル4階・5階
086-212-2551(代表)
10:00~20:00営業
 
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□